中学/高校生へ

自分はまだ高校生、将来のことなんか考えてない。ましてや中学生の私なんてもっと先のこと。 と思っている中学生/高校生の方は多いでしょう。そう、先のことだから何が良いか分かりませんし、 どうなるかも分かりません。だから、あまり心配する必要も無いし不安にならないで下さい。 ただ、仕事を決めるときにはこういうこともあるのか?という程度で見てください。 きっと、あなたの役に立つでしょう。
看護師になった「カナ」ちゃん
明るく元気な「カナ」ちゃん、中学生の頃から看護師になることに憧れていた。
だって、人を助ける仕事なんて素敵だし、周りからは「大変だけど偉いわね」なんて褒められる。
高校生になって進路を決める頃、お母さんに相談したら「看護師なんて何より安定しているし、
給料も良いから応援するよ」と言われ、カナちゃんもその気になって一生懸命に勉強。
その甲斐あって看護大学に合格。
それから4年間、勉強も大変だったけどもっと大変なのが看護実習、患者との
コミュニケーションや血管注射、ウンコの世話、初めは血を見てギャーギャー言ってたけど、
患者さんが「ありがとう」と言ってくれるのが嬉しくて、それなりに頑張れた。そして何とか
試験にも合格、さすが看護師資格だけあって、そこそこの給料が貰える病院に就職できました。
初めは判らないことも多く、忙しいこともあり夢中で働いていたのですが、3~4年たって少し
職場にも慣れてきたころモヤモヤ感から始まり、数週間後には病院へ出勤できない状態。
行きたくても足が動かない、無理して行こうとすると吐いてしまう。
結局、病院は休職してしばらく療養。
「カナちゃんピンチ、なぜ???」
心療内科で調べてもらったら、人間関係で疲れて辞めるって
よく聞くけど、「過剰適応による適応障害」との所見、「過剰適応???」。
結局、カナちゃんは憧れだった看護師を辞める結果となったのです。
この「過剰適応」って何なのでしょうか?
過剰適応が発生する根源的な原因として自己不全感があり、その自己不全感が他者意識を強くする。
そして、その他者意識が利他主義的な思考や行動を惹起(じゃっき)し、人からよく思われたい
欲求を強くすることになる。
よく判らないって、ぶっちゃけて言うとカナちゃんは、
人から良く思われようとして本当はしたくない仕事に就いたってことです。
「自分に自信がない」⇒「相手に嫌われないように行動する」⇒「自分をよく見せたいと思う」、
だから明るく振舞っていたのかも知れません。
更に、親の期待に応えようと「人の役にたちたいと思う」⇒「自分さえがまんすればいい」⇒
「やりたくないことでも無理してやる」⇒「自分の思っていることを口に出せなくなる」
でも、これって多少なりともみんな思うことでは?
そして、実際に働いてからでしか判らないの?
だから自己分析って必要なんです。この「過剰適応者」についても「共感力が高い」「自己肯定感が低い」
等・・・いくつかの指標があります。ほとんどの人達は一時的なモヤモヤ感程度で乗り越えられるのですが、
少しこれらの指標に敏感な人は、本人の意思とは無関係に過剰に反応してしまう傾向があります。
そして実社会に出て経験して初めて失敗したことに気づいてしまうようです。
カナちゃんは、資格さえ取れば安心と思っていたのに、実際に働いてから自分に向いてないと
分かったのです。一瞬、今までの苦労や勉強は何だったの?とも思いましたが、
振り返っても後の祭り。次は周りが進めることではなく自分で仕事を決めようと歩き始めました。
過剰適応のナース(看護師)ー「カナ」ちゃんの話でした。
「なんくるないさー」で大学に行った「ハヤト」くん
楽天家の「ハヤト」くん、がり勉でもなく遊びもそこそこ、だから成績も普通。基本的な考え方は、
沖縄方言で言う「なんくるないさー」(良い意味で、なんとかなるよ~)。だから、中学・高校と
あまり無理せず行ける学校に行き、大学も受験科目が少ない私立文系を狙い、一流ではないが
そこそこの大学に入ったハヤトくん。
「なんくるないさー」で就活も乗り切れば良いものを、なんでか知らず大学3年になってから、
就職について色々調べ出しました。
やっぱり、これからは「IT業界」、会社を首になってもフリーで
活躍できる「プログラマー」になるのが良いのでは、と思い至ったのです。
さすがに世渡り上手なハヤトくん言葉巧みにアピールし、IT業界の会社で「プログラマー」
として採用されました。
でも、こんなハヤトくんでも少しは頑張ったのです。まず、ネットで調べて未経験者でも
「プログラマー」になれる、そしてちょっと頑張れば数百万円稼げるようになれるという
プログラミングスクールが多くあることを知り、その中の一つを選んでスクールで勉強もしました。
だから、就活に際しても面接でそこそこの専門用語を使って対等に話せたし、逆に文系でも
そこまで勉強したことを逆手にとってアピールしたのです。
でも、ハヤトくん入社して1年足らずで辞めてしまいました。
何故って?、入社してくる周りのレベルが全然違うことが判ったのです。
「プログラマー」を目指して入社してきた人達は、専門学校や大学でプログラムに関する学科を
出ていることが当たり前ですし、それだけでなく中学や高校で独自で勉強している人達が
一杯いることを知りました。いくら要領のいいハヤトくんでも、この「プログラマー」という
世界では勝ち残れないと気付いたのです。
一般的にある分野のエキスパートになるには1万時間の練習・努力・勉強が必要と言われています。
1万時間と言ったら1日6時間の努力で1年で約2,000時間、つまり、専門家としてのプロになるには
最低でも5年近くかかるということです。ハヤトくんの入社した会社では、その様なプロに近い
人達がゴロゴロ周りにいたということです。
確かに、音楽やスポーツ、芸術の世界では小学生の時からそれに向かって努力している人なんていっぱい
いますよね。本当の「プログラマー」もそれに近いような職種だったのです。
言っちゃ悪いが、あまり努力なんて言葉が似合わないハヤトにとっては飛び込んではいけない職種、
ずっとコンピュータ画面の前に座って仕事するなんて、そもそも選んだらダメな業種だったのかも知れません。
就活をネットで調べれば「IT業界」ばかりお薦めですし、自分の周りを見渡しても「インターネット」に
関連したものばかり、ハッキリ言ってハヤトからしたら就職するなら「IT業界」しか見えないし、
それしかないと思い込んでいたのも確かです。
本当に「IT業界」に行きたいなら、高校生の時からそれを勉強できる専門学校や大学を目指すべきで、
大学に入ってから思い付きで「プログラム」を学習してもムダ。よく「未経験者でも可能」とかよく見ますが、
普通の人なら出来るかもしれないけれどハヤトでは無理と悟ったのです。
そんなハヤトくん、今は何しているかって?
1年足らずで辞めましたが、直ぐ「営業職」に転職できました。業種は「紙器製造業」です。
ハヤトくん、今まではなんとも思ってなかったのですが身の周りの紙製品ってよく見ると、
「ノート」や「ティッシュ」等の材質、「段ボール」や「紙箱」などの形状、「紙コップ」や「牛乳パック」
などの表面加工、印刷するときのデザインなどなど、知れば奥深く面白くなってきたようです。
持ち前の楽天的で要領のうまさでお客様とも楽しく営業トークできるようになっているみたいです。
今までの知識や経験だけでは、知らないことはたくさんあります。不安もあるでしょうが自分が
知っていることだけに拘らずオープンな気持ちで将来を考えてみるのもアリですよ。
自分が何に向いているか、中学/高校生で一度自己分析してみるのも良いのでは?
自分では想像もしてなかったところに天職があるかも知れません。
ちょっと早とちりでオッチョコチョイな。「ハヤト」くんの話でした。
社長になりたかった「タイセイ」くん
ちょっとヤンキー崩れの「タイセイ」くん、「俺はBIG(ビッグ)になる」が口癖。でも、
親や先生そして仲間からも、「バカが何言ってんの、このBIG(ビッグ)マウスが」と
言われるような勉強嫌い。でも、そんな時にふと読んだ「成り上がり」という本、なかでも
「二番は嫌い、一番にならなきゃ」「いくつになっても、逃げちゃいけないときがある」。
それを見た瞬間タイセイくんに電気が走ったのです。そして、思ったのが
「絶対、社長になってやる」でした。
でもタイセイくん、何の社長をするのかまったく思いつきません。でも、そういう点
では行動力のあるタイセイくん、自分が何に向いているか?どういう仕事があるか?
起業するならどの職種が良いか?徹底的に調べたのです。
自分が何に向いているか?頭は悪いが体力的には自信があるし、先輩・後輩との
付き合いもうまい方。一つだけ決定しているのは高校を卒業して、すぐ働くこと。
では、どういう仕事があるのか?進学しないので、技術(エンジニア)系、
芸術(クリエーター)系、事務(ホワイトカラー)系、医療・福祉系の仕事は難しいかな。
高卒でも入りやすいのは、生産・製造(工場)系、ガテン(建設土木)系、運転・輸送系、
自然(農林水産)系、サービス(料理・接客)系、あと、営業・販売系。でも、
この中で興味があるのはどちらかというと、生産・製造(工場)系とガテン(建設土木)系
かなという程度。
でも調べ出して一番びっくりしたのは、起業するならどの職種が良いか?という所でした。
頭が良くて優秀な大学を出て、出世して社長になれるなら良いですが、勉強できない
自分が社長になるには会社を立ち上げるしか方法はありません。それには、独立するだけの
スキル(技能)と経験が必要なようです。そうなると、生産・製造(工場)系では一部の
スキル(技能)だけで全体の製品をどう作り上げるかという経験は得られません。
ガテン(建設土木)系なら、どの職種でも良いかと言ったらそうでもありません。
会社を立ち上げるにはお金も必要です。ガテン(建設土木)系の仕事をしていく上で、
道具や工具も必要になってきます。車も必要でしょう。職種によっては、クレーン車や
ショベルカー、特殊な工具が必要な会社もあります。大工・とび工・塗装工・内装工・
電気工事士などは会社を設立するにも、お金があまりかからない職種として独立しやすいようです。
逆に、土木作業員・鉄筋工・鉄骨工・解体工などは開業時にそれなりの設備が必要になり
お金がかかるとのこと。
そんなことまで知らなかったし、そんなことまで深く考えて
職種を選ぶ必要があるなんて思ってもいませんでした。
職業を選択する際は、色々な人から意見を聞くということが大切だと骨身にしみた、
タイセイくんでした。
そんなタイセイくん、今、何してるって?
もちろん、まだ、修行中。塗装工としてペンキ屋で頑張ってます。しかし、
独立に向けて後輩たちを呼んできて一緒に起業する夢を進めているみたいですよ。
けど、そんなタイセイくんでもちょっと後悔していることが。
ペンキ屋を始めるにしても国から許可をもらう必要があり、その要件として資格を
持っていることや経験年数を満たしていないとダメなようです。
資格自体はそんなに難しくはないようですが、その職業のことが学べる専門学校か大学に行って
いれば良かったと。だから、後輩でちょっと「かし子」の奴に資格を取るよう勧めているようです。
大器晩成を狙う「タイセイ」くんの話でした。
進学か、就職か、悩める「リツ」と「ゆい叔母さん」
「ゆい叔母さん」(12歳年上の「リツ」のお母さんの妹、干支で一回り違うけどお姉さんみたいに
慕っていた)。そんな「ゆい叔母さん」、昔は、早く結婚して、家庭を持ちたい、それが女の幸せと
常々言ってました。でも、都会で遊びたいからという理由で4年制の大学に進学。
そして、そのまま都会で就職。大学時代に知り合った人と卒業して1年後に結婚。今は3歳の子供の
世話で離職中、もう少ししたらパートにでも出ようかななんて言ってました。
そんな叔母が言うには、大学は出たけど何の意味も無かった。英語とか社会の仕組みとか一般的な
教養は身につけられるが、大学を出たからと言って社会で通用するだけの専門性は身につかない。
資格取得のための進学ならしょうがないが、無理して進学しなくて良いのでは?大学に行った
私が言うのもなんだけど、どうせ結婚したら、子育てで離職、当分はパート勤め、時間とお金の
ムダだったことは確かね。でも、行かないで良い男と出会えるか?それも結果論になるけど。
リツは高校2年生、進学か?就職か?そろそろ決めなくてはならない時期にきています。
そんな時に、ゆい叔母さんが言っていたことを思い出したのです。でも、私は今は彼氏もいない、
可能なら進学したいが親は経済的なことで反対。行くなら自分で行けと言われています。
そうなると、奨学金を貰いながらバイトで生活、卒業しても奨学金返済で何年もお金を返し
続けなければなりません。無理して進学しなくても良いのかなとも思ってます。
だって、お父さんとお母さんは両方とも高卒だけど、そこそこ普通に暮らしてます。
ゆい叔母さんは大卒だけど、生活レベルは家とたいして変わらないように見えます。
そんな時に、ゆい叔母さんが突然、お母さんを訪ねてやってきました。離婚して子供を連れて
実家に帰ってきたようで、就職先がないか相談に来たようです。地方なので、大卒だと逆に仕事が無い。
あってもプライド的に許せない職業しかないようです。リツは働かなければならない状況で
「プライド」って何だろう、「ゆい叔母さん」は一体何がしたいのだろう、そして、
将来的にどうしていきたいのだろうと聞きながら思いました。
でも、これって自分も同じなのでは、ふと気づきました。自分だって、いつかは結婚して楽しい
家庭を持ちたい。でも、そんな当たり前と思える家庭が続くのか?壊れた時にどうすれば良いのか?
無理してでも進学し、資格や何らかの技術を身についておいた方が良いのか?でも、
それをするにも今から受験勉強をして、その後は奨学金等で苦労する。何が正しいの?
そんな時、私のお母さんが言いました。「ゆいちゃん、あなたは周りの人達と自分を比べて
優越感や劣等感を感じてない?直ぐ、勝ち負けで自分を見てない?」「人生って勝ち続けることは
難しいけど、負け続けることは簡単なのよね。だって、すぐに諦めてしまうから。だから、
負けた時にどうしたら起き上がれるか、それが生きていくうえで大切なのよ。」「ゆいちゃん、
あなたは未だ若い、どこで働こうと、何かを始めようと、自分で思ったことをやりなさい。
でも、その時にできない理由を自分で探さないこと。時間がない、お金がない、経験がない、
勇気がない、そして周りからどう思われるか?そんなの関係ない。
本当の自分は何がしたいのか?探し方ややり方が判らなければネットで調べれば一杯ある。
大切なのは、自分で考え、決断し、行動すること。ゆいちゃんには後悔しない人生を送ってほしい。
子供の為にも前に進みなさい、それを背中から見せるのが親の役目でしょ。」
リツは、お母さんから自分のことを言われているような気がしてショックでした。
進学か?就職か?ではなく、自分は何をやりたいか?どういう人生を送りたいか?
自分の『価値観』から見つめ直そうと思ました。
そして、お母さんは私の方を見て、「男に貢ぐ人生でも、男に貢がせる人生でも、
男と関わらない人生でも、あなたが決めた事ならそれでいいのよ。」と言うのです。
自分で考え、決断し、行動する、それが『自立』することと教わった「リツ」でした。
高校生の就職先の見つけ方
高校生の就職先の見つけ方ですが、一般的には学校からの斡旋(あっせん)です。
しかし、この学校斡旋もいろいろ問題があります。
1.一人一社制
先生が生徒に勧める就職先を提案し、生徒はその中から1社だけ応募します。
よって、人気の企業などは成績順になる場合もあり、自分が好きな会社に誰でも応募することは
できません。一部に2~3社応募できる県もありますが、ほとんどの都道府県が一人一社制です。
2.内定したら原則入社
生徒は一人一社しか応募できず、面接したらほぼ全員がその会社に入れる仕組みです。
よって、会社側も生徒側も余程のことがない限り、自分の方から断ることはできません。
面接時に自分の希望職種を訴えるなんてできないでしょう。
3.公務員試験と併願できない
高校生なら公務員試験の結果が確定するまで民間の会社への応募はできません。
民間の会社に入社が決まっているのに、公務員試験に合格したからそっちに行きますは通りません。
公務員試験に落ちてから就職活動を始めると、条件の良い会社はのこっていない可能性が大きいです。
4.学校の先生が就職先を選択
生徒に就職先を提案するのは学校の先生です。学校の先生というのは勉強は教えられても世間のことは
あまり知りません。だから、個々の生徒の性格は分るでしょうが、どの職種に適性があるか、
この会社で必要とされる職種は何かまで細かく知りはしません。だから、大きな会社は安定してる、
有名な会社なら生徒やその親からクレームは言われないだろうといった要素で就職先を選択する
傾向にあります。これは、学校の先生が悪いのではなくそういうシステムになっているからです。
短い期間で、生徒の就職先をすべてきめ細かく斡旋(あっせん)するなんて制度上無理なことです。
だから、高校生の場合、就職して3年以内に4割程度辞めてしまうという結果になっています。
それを考えると、高校生は職場が合わなければどんどん転職して適職を見つけていくのもアリだと
思います。
※Comment
『自立』とは、自分で考え、決断し、行動すること。
就職するまでに、多くの分岐点があります。例え、学生時代は自分で考えた通りにならなくても、
就職したら自分で給料を稼(かせ)いで、生きていかなければなりません。
就職するということは『自立』すること。就職したら以降は、自分で考え、決断し、行動すること。
誰かの所為(せい)や文句を言っても、何も変わりません。変えることができるのは自分です。
興味のある方は、
【大学/専門生の就活】
もご覧ください。